もう時効だと思うから想い出からひとつ。
*当たり前だけどあたしが犯人じゃないですよ(汗)
あるとき、とても感じのいい子がお店に入ってきた。
その日はあたしを含めて、先輩が2人、同僚2人で、
まあまあフツーな日だった。男性のマネージャーさんは
車がプレジデントな山上さん(仮名)。
その待機所は基本的にとても緩くいい加減で、ロッカーもなかったし、
オートロックにもなってなかった。
待機室には防犯用のカメラがついていた。
でも、先輩やあたしは、それがダミーでテープが入っていないことをしっていた。
同じ風俗嬢っていうお仕事をしてるっていう気持ちがあったから、自然に心を許してた。
でもあるとき先輩が、
「あれ!?カルティエの三連リングが無いよ〜!!どこいっちゃったんだろ??
お客さんのとこから戻ってきたときはあたしたしかにしてたし、
数時間前まであったのに・・・。あれただのリングじゃないんだよ!
ただの指輪なら無くしちゃったらしょうがないし、そんなのどうでもいい!!
でもあれは、大切な元カレがくれた想い出の指輪なんだ!!」
この一件から、今にして思えば連続盗難事件がはじまったような気がする。
ナルホドさん!事件です!!ってそんな勢いで。
そして、とても哀しいことに、やったのは新人の子だった。
状況証拠、物的証拠はあった。それに明かせないいろいろな事情で、
その子だとわかってしまった。
もとよりいろいろな人がいるわけで、ぶっちゃけ、
リアルな元女囚さんとかもいましたです。
あたしは風俗嬢という仕事に誇りを持っていたし、今も持っている。
だから、風俗嬢への誇大すぎる尊敬の念(神への畏敬の念よりも大きいくらい)があって、
まさか人のものを盗む子がいるなんて信じたくなかった。
ただ、手癖の悪い子っていうのはなんとなくわかってしまう。
あたしもジルスチュアートのサングラスをやられてしまったし、
同僚はアナスイの特注ものをやられてしまった。
それらがほぼ同時期に起きた。
もともと盗難自体が極めて稀で、それが連続するなんて考えられないくらいだった。
逆説的だけども、あまりお金に困っている子はいなかったように思う。
しかもお店の売り上げから17万円、消えていた。
誓っていうけども、マネージャーさんは絶対に盗んでなんていない。
そもそも売り上げが消えて困るのはマネージャーさんだし、
そういうことで嘘をつく人ではないし・・・。
一連の盗難事件で、あたしを含めて登場人物はせいぜい8人くらい。
だけど、その全てに居合わせた人は3人くらいしかいない。
しかも一人だけ被害がない。
窃盗が悪いとか、そういう次元の話ではなくて、
同じ風俗嬢として、なんでそんなことをしたんだろうか。
あれからもう8年くらいたつ。
いまだに、その子の心中がわからない・・・。
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レンズ: シグマ大口径標準ズーム 17-50mm(f2.8)