(微妙に長文)
先日もふれた谷崎さんのSM小説(これはストレートにSMものだー)の感想を・・・。
まず、大正〜昭和一桁時代に書かれたものなのに、
その内容が最近のSMネタとほとんど大差がないことにまずびっくりしました。
もちろん、時代の隔たりはそれなりにあるから、
今から見れば相当に差別用語だとされる表現とか、
出版では避ける用語とかもかなりあるんですけども、
語られていることはとてもみずみずしくて、これが最近執筆されたとしても
正直あまり違和感がない^^;
ネタバレは避けたいので詳細は書けないのですけども、
ただ、乱歩シリーズとは違ってあくまで「SMもの」なので、
探偵小説のような殺りく行為は(基本的には)起きないのですが、
谷崎さんのこの小説集は全体を通してどうも「乱歩風」な香りがします。
ただそこまでグロくはないし、どちらかというとみずみずしいほどに爽やかなんだけども、
漆黒の闇、といった印象を受けました。
「魔術師」は特に個人的にはオススメで、世界観としては
江戸川乱歩的ないかにも怪しくて、淫靡、頽廃、暗いといった雰囲気の中で、
男女の変態性愛(当時はそういう表現だったので・・・)が
まるで遊園地の花火のように色とりどりとくりひろげられる様は、
その強烈なコントラストの故に、狂気と紙一重な感じでものすごく面白いです。
自ら進んで自尊心を放棄し、まさにオブジェとなることを望む男女の群れの
説も面白かったんですけども、私がこの小説でかなりビックリだったのは、
谷崎さんの描写の中に、(*原文引用ではありません)
「サドマゾという変態性欲が世の中にはある。それはSとMというもので、
原則的にはSはMに虐待を行い、MはSに虐待されることを生きる喜びとする
行為なのであるが、実際的にはこれはたぶんに芝居じみたところもあって、
そもそもある程度の同意の上で行われているということと、
Sは虐待をしているとはいっても、Mが無言のうちに求める範疇において
虐待をしているということは興味深いことである。」
っていう主旨の谷崎さんの言葉があるんですけども、
これはとても示唆的だなと思いました。
もちろん、”それを突き破ったサドマゾ”へと小説では進んでゆくのですが、
それは読んでのお楽しみで・・・。
ただ、100年とは言わないまでもそれに近いくらいの昔から、
すでにこの話題がでていたというのはかなりビックリです。
ところで、長々と書いてしまったので谷崎さんの美術感からひとつだけ
引用してみたいのですが、
「漆器や茶器というのは漆黒の闇の中でこそより妖しく光り輝くものなのです。
もちろん、白い壁に掛けてこそ映える絵画などもあるのでしょうが、
世の中には、”闇の持つ美”というものがたしかに存在し、
それらは暗いからこそ、輝きを増すのです。」
という一説がありました。(参照:色を探求する @放送大学出版)
”漆黒”に対する想いは私もとても強く、
白が嫌いということは全然ないのですけども、やはり太陽よりは月の灯りに
照らされたいです・・・。
先日もふれた谷崎さんのSM小説(これはストレートにSMものだー)の感想を・・・。
まず、大正〜昭和一桁時代に書かれたものなのに、
その内容が最近のSMネタとほとんど大差がないことにまずびっくりしました。
もちろん、時代の隔たりはそれなりにあるから、
今から見れば相当に差別用語だとされる表現とか、
出版では避ける用語とかもかなりあるんですけども、
語られていることはとてもみずみずしくて、これが最近執筆されたとしても
正直あまり違和感がない^^;
ネタバレは避けたいので詳細は書けないのですけども、
ただ、乱歩シリーズとは違ってあくまで「SMもの」なので、
探偵小説のような殺りく行為は(基本的には)起きないのですが、
谷崎さんのこの小説集は全体を通してどうも「乱歩風」な香りがします。
ただそこまでグロくはないし、どちらかというとみずみずしいほどに爽やかなんだけども、
漆黒の闇、といった印象を受けました。
「魔術師」は特に個人的にはオススメで、世界観としては
江戸川乱歩的ないかにも怪しくて、淫靡、頽廃、暗いといった雰囲気の中で、
男女の変態性愛(当時はそういう表現だったので・・・)が
まるで遊園地の花火のように色とりどりとくりひろげられる様は、
その強烈なコントラストの故に、狂気と紙一重な感じでものすごく面白いです。
自ら進んで自尊心を放棄し、まさにオブジェとなることを望む男女の群れの
説も面白かったんですけども、私がこの小説でかなりビックリだったのは、
谷崎さんの描写の中に、(*原文引用ではありません)
「サドマゾという変態性欲が世の中にはある。それはSとMというもので、
原則的にはSはMに虐待を行い、MはSに虐待されることを生きる喜びとする
行為なのであるが、実際的にはこれはたぶんに芝居じみたところもあって、
そもそもある程度の同意の上で行われているということと、
Sは虐待をしているとはいっても、Mが無言のうちに求める範疇において
虐待をしているということは興味深いことである。」
っていう主旨の谷崎さんの言葉があるんですけども、
これはとても示唆的だなと思いました。
もちろん、”それを突き破ったサドマゾ”へと小説では進んでゆくのですが、
それは読んでのお楽しみで・・・。
ただ、100年とは言わないまでもそれに近いくらいの昔から、
すでにこの話題がでていたというのはかなりビックリです。
ところで、長々と書いてしまったので谷崎さんの美術感からひとつだけ
引用してみたいのですが、
「漆器や茶器というのは漆黒の闇の中でこそより妖しく光り輝くものなのです。
もちろん、白い壁に掛けてこそ映える絵画などもあるのでしょうが、
世の中には、”闇の持つ美”というものがたしかに存在し、
それらは暗いからこそ、輝きを増すのです。」
という一説がありました。(参照:色を探求する @放送大学出版)
”漆黒”に対する想いは私もとても強く、
白が嫌いということは全然ないのですけども、やはり太陽よりは月の灯りに
照らされたいです・・・。
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